腱板断裂症例の棘上筋の脂肪浸潤
<論文>
Watanabe T et al:A pilot study to assess Fatty infiltration of the supraspinatus in patients with rotator cuff tears: comparison with magnetic resonance imaging. Ultrasound Med Biol. 2015 Jun;41(6):1779-83.
<なぜこの論文を選んだか>
腱板断裂肩では棘上筋の機能不全が生じるが、その断裂程度と棘上筋の形態学的変化について調査しているため興味があったから。
<概要>
○目的
棘上筋のエコー輝度を定量的に評価し、MRIと超音波所見を比較すること。
○対象
27名(男性15名、女性12名:年齢65.8±11.5歳)
○方法
損傷の大きさと脂肪浸潤の程度はMRIで測定した。
浸潤の程度はGoutallier分類により5段階に割り当てた。
超音波評価はグレースケールヒストグラム解析を用いて、皮下脂肪と棘上筋の両方で3箇所の異なる領域で測定した。
○結果
脂肪組織輝度:stage4<stage0-1、2-3(p<0.05)
棘上筋エコー輝度:stage0-1<stage2-4(p<0.05)
<コメント>
・棘上筋はエコーで容易に観察しやすいため、腱板断裂に限らずその他の肩関節疾患においても形態学的変化をエコーで評価できる可能性がある。
sho'sめも
<筋輝度>
萎縮筋を超音波エコーで観察すると、筋厚の減少に加えて、筋が健側と比較して白くぼやけて見える(輝度が高く映る)。
これは骨格筋内の収縮組織の代わりに非収縮組織である結合組織が増えた結果、このように映ると言われている。