肩関節周囲炎患者における烏口上腕靭帯の超音波評価
<論文>
Homsi C et al:Ultrasound in adhesive capsulitis of the shoulder: is assessment of the coracohumeral ligament a valuable diagnostic tool? Skeletal Radiol. 2006 Sep;35(9):673-8.
<なぜこの論文を選んだか>
先の論文に先立ち、引用されていた論文で、肩関節周囲炎症例における烏口上腕靭帯(以下、CHL)の厚みを検証した論文であったため、読んでおきたかったから。
<概要>
○目的
超音波画像診断装置を用いて癒着性関節包炎患者のCHLの厚みを決定すること。
○対象
306名498肩(年齢47.4歳:15-92歳)
Asym(症状なし):121名
PS(肩痛あり):360名
AS(癒着性関節包炎):17名
○方法
烏口突起を描出し、水平にプローブを設置してCHLを描出した。
可視化できない例、小胸筋から延長して存在するCHL例は除外した。
CHLの厚みを3群間で比較(Kruskal-Wallis検定)
○結果
Asym(症状なし):76.0%(92/121名)、1.34±0.32mm
PS(肩痛あり):63.0%(227/360名)、1.39±0.54mm
AS(癒着性関節包炎):88.2%(15/17名)、3.0±0.85mm
AS>Asym・PS:p<0.0001
<コメント>
エコーで観察しても明らかにCHLが肥厚しているということがわかった。この変化が可動域制限と関連している可能性が非常に高い。また特異的にこの病態を説明するのに適していると考えられた。
sho’sめも
・小胸筋の起始は烏口突起であるが、しばしば解剖学的な変位としてCHLまで線維が延長しているという報告がある。