癒着性肩関節包炎症例における超音波評価
<論文>
Tandon A etal:Sonography in diagnosis of adhesive capsulitis of the shoulder: a case-control study. J Ultrasound. 2017 Aug 21;20(3):227-236.
<なぜこの論文を選んだか>
肩関節周囲炎症例は非常に触れる機会が多い疾患だが、超音波画像診断装置を用いてどのように診断するのか興味があったから。
<概要>
○目的
癒着性関節包炎(AC)の前向き診断のために複数のパラメーターを使用して超音波画像診断装置の有用性を評価すること。
○対象
超音波検査をした90名
AC(癒着性関節包炎):30名
PS(肩に疼痛有する例):30名
Cont(健常者):30名
○方法
静的評価:CHLの厚み、腱板疎部の軟部組織の増加
動的評価:外転・外旋の制限
ACの診断のために単独でまたは組み合わせて各パラメータの精度を算出。
○結果
CHLの厚み
AC:1.2mm
PS: 0.54mm
Cont:0.4mm
感度94.4、特異度93.1
腱板疎部の軟部組織の増加
感度86.2、特異度92.8
外転運動
感度100、特異度6.7
外旋運動
感度96.7、特異度90
<コメント>
臨床ではCHLの柔軟性低下が問題となるケースが多く、さらに外旋制限を有する例が多いことから臨床的な評価の裏付けになる研究であると思われる。
CHLの柔軟性をいかに改善させるかが可動域獲得のポイントになる。
sho’sめも
・ROM曲線:Receiver operating characteristic curbe
検査の感度と特異度の関係を曲線で表したグラフのこと。
横軸に感度、縦軸に特異度を表示し、グラフの左上に角が近いほど感度と特異度が優れた検査であることを示す。
左上の角に最も近い検査の値がカットオフ値となる。