超音波画像診断装置を用いた肩峰骨頭間距離の測定
<論文>
Leong HT et al:Ultrasound measurements on acromio-humeral distance and supraspinatus tendon thickness: test-retest reliability and correlations with shoulder rotational strengths. J Sci Med Sport. 2012 Jul;15(4):284-91.
<なぜこの論文を選んだか>
肩峰骨頭間距離の狭小化はインピンジメントもしくは腱板損傷の原因の一つとされている。その距離を超音波で測定する方法およびその信頼性について知りたかったから。
<概要>
○目的
超音波画像診断装置を用いて肩峰骨頭間距離(AHD)および棘上筋腱厚の測定に関する信頼性について調査すること。また、肩回旋筋力との関係について調査すること。
○対象
37名(21.5±1.4)
バレーボール選手24名(無症候13名、インピンジメント9名)
健常成人13名(バレーしていない)
○方法
AHD:肩峰の内側下縁から大結節の頂点までを測定
棘上筋腱:LHBより外側10・20・30mmで測定
回旋筋力:Cybex、肩45度外転位で内旋/外旋筋力測定
○結果
AHD:ICC=0.922
MDD=2.10mm
棘上筋腱:ICC=0.933
MDD=0.64mm
AHD cut off value:23.9mm(感度0.67、特異度0.71)
棘上筋腱厚と外旋筋力・内旋/外旋筋力比に正の相関(p<0.05)
<コメント>
AHDの信頼性が高く、またカットオフ値が出ていることは臨床で評価する上で非常に重要な情報になる。
特にインピンジメントを有する症例では評価する指標の一つとして考えていいと思われれる。
sho’sめも
・Minimum detectable change(MDC):最小可検変化量
再テストなどの繰り返し測定により得られた2つの測定値の変化量の中で測定誤差の大きさを示したもの。
MDC以内の変化は測定誤差によるもの,それ以上の変化が測定誤差以上の変化と判断する。