術前診断における肩甲下筋損傷の有病率と超音波エコー評価の精度
<論文>
Narasimhan R et al: Prevalence of subscapularis tears and accuracy of shoulder ultrasound in pre-operative diagnosis. Int Orthop. 2016 May;40(5):975-9.
<なぜこの論文を選んだか>
臨床であまり肩甲下筋損傷のケースを見ることはないが、治療として筋腹への介入することは多い。そのため、知識として肩甲下筋損傷について、またエコーによる評価について知りたかったから。
<概要>
○目的
肩関節鏡検査で肩甲骨下損傷の有病率を確認し、損傷診断における術前超音波検査の精度を決定すること
○対象
腱板損傷の関節鏡検査を受けた236名
○方法
肩甲下筋損傷の有病率をLafosse classification systemを用いて分類した。
超音波評価および術中所見を比較して、肩甲下筋損傷の検出における超音波の正確性、感度および特異性を決定した。
○結果
腱板損傷修復術を受ける患者のうち、肩甲下筋損傷の有病率は31.4%。
肩甲下筋損傷の検出における超音波の感度は39.5%、特異度は93.1%。
超音波の総合精度は75.8%だった。
超音波の感度:小さい損傷(タイプ1、2)は低い(42.8%)
大きい損傷(タイプ3、4、5)は高い(79%)。
全体的な陽性適中率は73.1%、陰性適中率は76.4%であった。
<コメント>
損傷が小さい場合にはエコーによる感度はかなり低いとのこと。
その場合、動きを組み合わせてみたら、また違うのかな?静止画で判断できないことも動画でわかる情報が多い印象があるため、動態評価は診断的に有用化わからないが、機能を見る上では大切な気がします。