超音波画像診断装置を用いた烏口肩峰靭帯の厚み計測
<論文>
Dietrich TJ et al:Ultrasound of the coracoacromial ligament in asymptomatic volunteers and patients with shoulder impingement. Acta Radiol. 2016 Aug;57(8):971-7.
<なぜこの論文を選んだか>
烏口肩峰靭帯の肥厚はインピンジメント症候群の一要因とされているが、エコーではどの部位で撮影するのか、そしてその厚みは症状がある人とない人の違いがエコーで観察できるのか興味があったから。
<概要>
○目的
肩関節インピンジメントを有する症例と無症候者における超音波画像診断装置を用いて烏口肩峰靭帯の比較をすること。
○対象
インピンジメント症例29名(49.9歳)
無症候被検者29名(35.5歳)
○方法
2名の放射線技師が超音波画像診断装置を用いて烏口肩峰靭帯を撮影し分析した。
○結果
靭帯の厚み(烏口突起部、中間部、肩峰部)
無症候被検者:1.8±0.4mm、1.4±0.2mm、2.1±0.6mm
インピンジメント:1.3±0.2mm、1.9±0.5mm、1.9±0.5mm
烏口突起部の厚みに有意差あり(p<0.01)
靭帯長
無症候被検者:30.4±3.6mm
インピンジメント:30.6±2.4mm
<コメント>
インピンジメント症例では一部厚みの肥厚が超音波エコーを使って捉えることができることがわかった。
もともとの靭帯の厚みが薄いため、観察のスキルや信頼性・妥当性についてもう少しレビューする必要がある。