超音波画像診断装置を用いた異なる外転角度における肩峰下腔の測定
<論文名>
Longo S et al:Ultrasound evaluation of the subacromial space in healthy subjects performing three different positions of shoulder abduction in both loaded and unloaded conditions. Phys Ther Sport. 2017 Jan;23:105-112
<なぜこの論文を選んだか>
肩峰下腔の距離の減少はインピンジメントの発生要因の一つである。臨床で評価するにあたりエコーではどこで撮影しているのか、また外転角度および負荷の有無によってどの程度距離に変化が出るのか知りたかったから。
<概要>
◯目的
肩の筋力訓練のために3回の運動を行った後、無症状の被験者の肩峰下腔を測定した。◯対象
健常成人男性25名(24±5歳)
◯方法
負荷条件:負荷なし、4kg負荷
角度条件:90°外転位、90°外転位外旋、Upright row posture(UR):(約90°外転位)
12名の被検者に対して、2名の検者の検者間信頼性の測定
◯結果
ICC=0.87、SEM=0.23-0.51mm、MDC=0.61-1.79mm
分散分析:負荷(p=0.003)と角度(p=0.001)および相互作用(p=0.004)の間に有意差があった。
90°外転位 (Neutral) NL:0.67±0.12 WL:0.71±0.17
90°外転位(Ext rot) NL:0.86±0.22 WL:1.05±0.27
UR position(UR) NL:0.82±0.20 WL:0.77±0.15
NL:Neutral<Ext rot、UR(p=0.002)
WL:Neutral、UR<Ext rot(p=0.001)
<コメント>
肩関節外転外旋位というのは負荷がなくても肩峰下腔を狭小化させる可能性が高いことがわかった。そのため、以下に外転させた際に上腕骨頭の上方偏位を防ぐか、その原因となる組織はなにかを評価・介入していくことが重要である。