肩甲骨を固定したCross body stretchingの棘下筋、小円筋、三角筋に対する効果
<論文>
Umehara J et al:Effect of scapular stabilization during cross-body stretch on the hardness of infraspinatus, teres minor, and deltoid muscles: An ultrasonic shear wave elastography study. Musculoskelet Sci Pract. 2017 ;27:91-96.
<なぜこの論文を選んだか>
Cross body stretchingは後方タイトネスの改善に有効であること、内旋可動域の改善に有効であることから臨床でよく自主トレ指導するストレッチの一つである。そのストレッチを肩甲骨固定することで、どの筋にどのような変化が生じるのか興味があったから。
<概要>
○目的
超音波せん断波エラストグラフィを使用して、ストレッチ中の肩甲骨の固定が棘下筋、小円筋、三角筋後部の硬さを効果的に減少させるか定量的に調査すること。
○対象
健常成人男性20名(23.4±3.3)
○方法
ランダム化クロスオーバーデザイン
測定肢位:端座位、肩関節90度屈曲位
測定部位:棘下筋上部線維、棘下筋下部線維、小円筋、三角筋後部線維
ストレッチ方法:①側臥位にて上方にある上肢をストレッチ
②①の方法に肩甲骨の固定を加える
○結果
棘下筋上部:肩甲骨固定>非固定(p<0.05)
棘下筋下部:肩甲骨固定>非固定(p<0.01)
小円筋:肩甲骨固定>非固定(p=0.43)
三角筋:肩甲骨固定>非固定(p=0.74)
<コメント>
Cross body stretchingでより棘下筋の柔軟性向上を狙うのであれば、肩甲骨を固定してやるといいということがわかった。
小円筋や三角筋後部線維の伸張方向については今後調べていきたい。
sho’sめも
・肩関節後方タイトネス
肩関節後方タイトネスはスローイング系のアスリートでは怪我の発生率が上がることが報告されている。
後方タイトネスの要因には①上腕骨後捻、②後方関節包の肥厚、③後方筋群の伸張性低下が挙げられており、特に③に対する介入研究が多く報告されている。