超音波画像診断装置を用いた上腕二頭筋長頭腱の評価
<論文>
Drolet P et al:Reliability of ultrasound evaluation of the long head of the biceps tendon. J Rehabil Med. 2016 Jun 13;48(6):554-8.
<なぜこの論文を選んだか>
肩関節周囲炎患者では上腕二頭筋長頭腱(LHB)の圧痛所見を認めることが多い。また同部位をエコーで観察すると炎症反応などを認めることがあるが、その形態学的な変化についてはあまり観察することがなかったため、興味があった。
<概要>
○目的
超音波画像診断装置を用いてLHBの定量的評価信頼性について調査すること。
○対象
肩に疼痛のない健常者31名(男性12名、女性19名:39.0±16.4)
○方法
超音波画像診断装置を使ったLHBの計測:厚み、幅、断面積
検者内信頼性、検者間信頼性:級内相関係数とMDC
○結果
<短軸評価>
幅:4.7±0.6-4.8±1.2mm
厚み:2.5±1.3-2.8±1.3mm
<長軸評価>
CSA:12.1±6.6-12.7±7.7mm
厚み:3.9±1.2-4.1±1.1mm
長軸と短軸の厚み計測に有意差あり(p<0.05)
検者内信頼性:ICC=0.90-0.99
検者間信頼性:ICC= 0.90(幅のみ0.64-0.89)
MDC=幅と厚み0.3-1.6mm
CSA2.8-4.9mm
<コメント>
LHBの測定では2回以上の測定をすることで、幅以外は信頼性が高いことがわかった。インピンジメント症例ではLHBが肥厚しているケースがあるということだが、その点も注意深く観察して評価する必要がある。